アトピー性皮膚炎
痒い皮膚の炎症(湿疹)が
- 広範囲に
- 左右対称に出現し
- 慢性的に続く状態(乳児では2か月以上、乳児以外では6か月以上)をアトピー性皮膚炎と診断します。
原因が何かに関わらず、全身にわたる湿疹が長期間続く状態をアトピー性皮膚炎と言います。アトピー性皮膚炎に関してはまだわかっていないことが多いのが現状ですが、皮膚のバリア機能が弱く、外的な刺激(乾燥や汗、気温や湿度の変化・アレルゲンの侵入など)の影響を受けやすいのが要因と考えられております。
検査
アレルギー検査:バリア機能の低下した皮膚の隙間からアレルゲン(ハウスダストやダニ、花粉、食物など)が皮膚内に侵入し炎症を起こすことがアトピー性皮膚炎の増悪因子の一つと考えられております。増悪因子を特定しそれを避けることにより症状の緩和をはかることが検査の目的となります。アレルギー検査に関してはこちらをご参照ください。
治療
当院では、主に保湿の塗り薬や炎症を抑える塗り薬、痒みを抑えたりアレルギーを抑える飲み薬で治療をします。日本皮膚科学会のガイドラインに沿った適切な治療です。
外用剤(塗り薬)
- ステロイド外用剤:炎症を抑える塗り薬です。最も歴史がありアトピー性皮膚炎の治療において第一選択となることが多い外用剤です。弱いものから強いものまで何種類もあり、症状に合わせて使い分けることが出来ます。保湿剤と混合することも可能なため、湿疹の状態に合わせたオーダーメイド治療の可能な塗り薬となります。ステロイド外用剤の塗り方はこちらから
- プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏):ステロイドの次に歴史のある炎症を抑える塗り薬です。強さはステロイド外用剤の中等度の強さのものと同じくらいです。体の部位に関係なく使用できる便利な塗り薬ではありますが、使い始めに刺激症状があることがあります。また掻き傷やびらんになっている部位には使用できません。
- コレクチム軟膏:2020年承認された炎症を抑える塗り薬です。強さはプロトピック軟膏と同等ですがプロトピック軟膏のような刺激症状はありません。
- ブイタマークリーム(タピナロフ):2024年承認された最新の炎症を抑える塗り薬です。12歳以上で使用できる塗り薬で1日1回患部に塗布します。芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化することにより,さまざまな遺伝子に働きかけ皮膚の炎症を抑制します。 抗炎症作用に加え、皮膚バリア機能を改善させる効果もあります。
- 保湿剤:皮膚の水分を保持するヘパリン類似製剤(ヒルドイド)や皮膚をコーティングする作用で水分を逃がさないワセリン(プロペトなど)を症状に合わせて使い分けております。ヘパリン類似製剤には様々な剤型(クリームやローション、フォームなど)があり、お好みのものを選んでいただくこともできます。
内服薬(飲み薬)
- 抗アレルギー剤:花粉症の薬として最も有名です。何種類もあり各種アレルギー性疾患の治療薬として使われております。アトピー性皮膚炎の場合にはアレルギー反応の抑制と痒み止めとして使用いたします。基本的に効果のあるものほど眠気を誘う副作用が強くなるという特徴があります。
生物学的製剤(デュピクセント・アドトラーザ)
生物学的製剤であるデュピクセントとアドトラーザを採用しております。生物学的製剤とは、バイオテクノロジーを用いて製造された高分子の蛋白質の薬剤で特定の分子を標的としております。蛋白質のため内服ですと消化されてしまうため皮下注射で投与します。
※当院におけるデュピクセントとアドトラーザの使い分け
デュピクセントは生後6か月以上から使用できるのに対してアドトラーザは15歳以上となります。デュピクセントの効果の発現は比較的早く、アドトラーザは比較的ゆっくりとした印象です。しかしながらアドトラーザは顔面の皮疹に対してデュピクセントよりも高い有効性を示します。また生物学的製剤に特徴的な結膜炎の副作用の発現率もアドトラーザの方が低い傾向にあります。
年齢や重症度、患者様お一人お一人の症状を確認し使い分けていきます。
